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ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐコツ 食事

このページでは、ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐコツについてご紹介しています。


 ジャガイモ(馬鈴薯)を使った料理にもいろいろありますが、特に男性に人気があるのが、

”肉じゃが”なのだそうです。いわゆる”おふくろの味”ですね。
 
 肉じゃがは、日本独自の料理で、1870年から1878年までイギリスのポーツマス市に
留学していた東郷平八郎が、留学先で食べたビーフシチューの味が忘れられなくて、
日本へ帰国した後、海軍の艦上食として作らせようとしたのが始まりなのだそうです。
 
 ところが、そのビーフシチューを作るように命じられた料理長自身、
ビーフシチューなど食べたことも無かったようで、東郷平八郎の話から、
おそらくこんな感じだろうと醤油と砂糖を使って作ったのがビーフシチューならぬ、”肉じゃが”だったとか。
 
 肉じゃがを上手に作れないという方のいちばんの悩みは、”ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれ”。
実は、ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれは意外と簡単に防ぐことができます。

 

ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれの原因


 ジャガイモ(馬鈴薯)が煮くずれする原因は、大きく分けて2つあります。
そのひとつめは、ジャガイモ(馬鈴薯)の品種の違いによるでんぷん量の違い。
そして、ふたつめは、不適切な加熱調理の方法です。
 

ジャガイモ(馬鈴薯)の品種と煮くずれの関係
 
基本的には、食用にされるジャガイモ(馬鈴薯)は、含まれるでんぷん(澱粉)の量が多くなると、
ほくほくとした食感を生む粉質になります。舌の上に細かいつぶつぶ感の残る食感ですね。
 
逆に、含まれるでんぷん(澱粉)の量が少なくなるほど、やや粘り気のある独特の食感が生まれます。
一般的にジャガイモ(馬鈴薯)は、ほくほくとした食感が増すほどおいしく感じられるものですが、
このほくほく感が強くなるほど、煮込んだときに煮くずれを起こしやすくなります。
 
ジャガイモ(馬鈴薯)は、品種によって含まれるでんぷん(澱粉)の量が違います。
このでんぷん(澱粉)の量を”でんぷん価”、もしくはライマン価とも言いいますが、
でんぷん価の高い品種ほど、煮くずれしやすくなります。
 
ただし、”ホッカイコガネ”という品種のように、でん粉価が比較的高いにもかかわらず
煮くずれしにくい品種もあります。
これは、他のジャガイモ(馬鈴薯)に比べて細胞が小さいことからくる特質です。
 
栽培環境や栽培方法によっても違いますが、一般的にでん粉価の高い品種から順にご紹介すると、
ホッカイコガネ、トヨシロ、マチルダ、ワセシロ、キタアカリ、男爵薯、さやか、メークイン、
とうや、レッドムーンという順になります。
 
ちなみに、関東以北では中程度のでんぷん価を持つホクホクした食感でおなじみの”男爵薯”が好まれ、
関西より西では男爵薯よりもでんぷん価が低く、やや粘り気のある”メークイン”が
好まれる傾向にあるそうです。
 
以上のことから、肉じゃがなどの煮物には、食感の好みにもよりますが、中程度のでんぷん価を持つ
男爵薯をはじめとした、ややでんぷん価の低い品種が向いているということになります。

 

ジャガイモ(馬鈴薯)が煮くずれするしくみ


 では、ジャガイモ(馬鈴薯)のでんぷん価が高いとなぜ煮くずれしやすいのかについて
ご紹介しておきましょう。
 ジャガイモ(馬鈴薯)に含まれるでんぷん(澱粉)は、煮込んだりして熱を加えると細胞壁などに含まれるペクチンが溶け、でんぷんは糊(のり)状に変化します。その際に、水分をどんどん吸収したでんぷんが膨れ上がり、細胞壁を壊してしまいます。本来は、ペクチンが細胞と細胞をつなぎ止める役目もしているのですが、加熱によって溶けてしまっていますから、その働きは無くなってしまいます。
 細胞壁が壊れると細胞同士のつながりも壊れてばらばらになってしまいますから、そのまま煮込み続けるとジャガイモ(馬鈴薯)の姿がどんどん崩れてゆきます。これが煮くずれです。
 
ジャガイモ(馬鈴薯)に含まれるでんぷんの量が多いほど細胞壁を壊しやすくなるのはこのためで、
でんぷんの量が多いほど煮くずれしやすくなります。けれど、ほくほくした食感を楽しみたいなら、
でんぷん価が高いほうがいい。
 
そこで、ほくほくした食感を残しつつ、煮くずれしにくい調理法がいろいろ考え出されて来たわけです。

 

ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐ調理法とコツ


 
でんぷんを多く含むジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぎながら、ほくほくとした食感を楽しむには、水から茹でるのが基本です。
 
その理由は、ジャガイモ(馬鈴薯)などの野菜には、細胞壁などに含まれるペクチンの働きにより、
60℃以下の温度をやや長めにくぐらせると固くなる硬化現象があるから。
 
通常、ジャガイモ(馬鈴薯)などの野菜を加熱すると当然軟らかくなります。ところが、
茹でる温度をおよそ60℃以下に保ち続けると硬くなる傾向があります。
そしてその後、通常通りぐつぐつ煮込んでも軟らかくなりにくくなります。
 
ジャガイモ(馬鈴薯)自体は、ぐつぐつ煮込む程軟らかくなってゆきますが、
ペクチンの働きによる硬化現象の効果で細胞同士の結びつきが維持されていますので、
煮くずれしにくくなるのです。
 
その性質をより効果的に引き出すために、ジャガイモ(馬鈴薯)は水から煮るというわけです。
 
つまり、沸騰したお湯でジャガイモ(馬鈴薯)を煮込むと内部と外部で温度差が生じて
なおさら煮くずれしやすくなりますが、水から煮込めば、内と外の温度差が少なくなる上に、
水温が60℃くらいになる頃には、硬化現象も完了しますので、
その後お湯の温度を上げて煮込んでも煮くずれが少なくなるというわけです。
 
流れとしては、水から煮込んでいったん煮立ったら中火にしてしばらく煮込んで
味を染みこませるというかんじになります。

 
ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐコツには他にもいろいろありますので、
ご参考までにご紹介しておきましょう。
 
1.ジャガイモ(馬鈴薯)を煮込むときみりんを入れる。
 小料理屋さんなどで一般的に用いられている調理法で、みりんに含まれるアルコールが
 細胞をつなぎ止めるペクチンに作用して煮くずれしにくくなる効果を利用した調理法です。

 
2.ジャガイモ(馬鈴薯)を水から煮込んで、調味料を加える前に、”バター”を加える。
 
 使用するジャガイモ(馬鈴薯)の品種によっても違いますが、目安は小さじ1杯分。
 調味料を入れる前にバターを加えることで煮くずれしにくくなります。
 これもペクチンの働きを強めて煮くずれしにくくする方法です。
 
3.中火にしてから梅干しを加える。
 
 肉じゃがに関してですが、中火にしてことこと煮込む段階で、
 ジャガイモ(馬鈴薯)一個に対して0.5個の梅干しを加える調理法です。
 この方法も、梅干しに含まれるクエン酸がペクチンの働きを助ける効果を狙った調理法です。

 
ご紹介したジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐコツは、お使いになるジャガイモ(馬鈴薯)の品種や、
お好みのほくほく感によっても加える量が違ってきますので、
何度かお試しになっていちばん良いと思われるところを見つけていただければ、と思います。

 今回は、ジャガイモ(馬鈴薯)の煮くずれを防ぐコツについてご紹介してみました。
引用元:http://yasainokatuyoujyutu.blog86.fc2.com/blog-entry-57.html

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