アマドコロ
起草者:オドサマ
作成日時:2011-07-17 13:36:22
大島村に移り住んで2年目の初夏だったろうか。
小さな渓流をたどって草をかき分けながら、
沢菜(ウワバミソウ、ミズ)採りのポイントに案内してもらっていたとき、清楚な花に出会った。
家に帰って調べたところ、「オオナルコユリ」という植物のようだった。
ようだったというのは、近縁種に「アマドコロ」というのがあって、
写真ではどうも見分けがつかない。
どちらも山菜として利用できるけれども、さらに「ホウチャクソウ」という近縁種もあり、
そちらは毒草で、山菜として利用したい葉が展開していない時期での見分けが難しい。
「ふむふむ、アマドコロは茎に稜線があるのか・・・」
「ふむふむ、ホウチャクソウは蕾の中で茎がふた股になっているのか・・・」
と記憶しておいた。
オオナルコユリはお浸しにして食べると茎に甘味があり美味しい。
けれど生息が疎らで、初対面が美しい花期であったこともあり、
その後は見かけても手を伸ばさずにいた。
それから数年後、それらしい花の群生に出くわした。茎を触ってみると稜線がある。
「アマドコロだ・・・」
本当に敷き詰めたような群生である。
翌春、その場所で若芽を摘んで食べた。
お浸しで試してみたけれども、甘味に結構な苦味があり、葉の口触りがあまり良くなかった。
さらに翌春、今度は花芽が出る直前まで待って、伸びた茎だけを利用してみた。
すると苦味もなく、ちょうど細いアスパラのようで美味しかった。
甘味はアスパラより上かもしれない。
なにより、採集の喜びが食味を引き立てる。
さて、このたびは根茎を掘り採ってきた。
この根は生薬としても有名なものらしく、滋養強壮以外に、
シミ・ソバカスを消し、消炎の作用もあるという。
中高年女性が飛びつきそうな効能である。
とか言いながら、じつはオドサマも、顔をはじめ至る所に茶色いシミが目立つようになってきて、
たまに鏡を見ては「オドサマくさい顔になってきたなぁ」と思っていたところであった。
あちこち関節の痛みもあるので、消炎効果も嬉しいかぎり。
それでいそいそと土ほじりに出かけて、一掴みを頂いてきたのである。
この根、よく見てみると所々に台座のような節があり、
どうやら茎の立った跡のようである。つまり節の数で何年ものの根茎かが分かる。
山芋のように更新するのではなく、付け足しで成長するようである。
皮むきはひげ根を取ってから、ピーラーが便利だった。
短冊に切って醤油で食べてみたけれど、どうも硬い。
味はほぼ甘い山芋で、思った以上にヌメリが強い。
そこで、トロロ飯に挑戦。
まずは出汁を用意する。
出ました伝家の宝刀、節削りカンナ台!!
(実はわりと最近お取り寄せした新品)
これで削った鰹節はまさに格別。
たっぷり削って取った濃厚出汁を冷やしておく。
皮を剥いたアマドコロを目の細かいおろし金にカリカリと擦りつける。
持っている所がヌメるのでなかなかはかどらず、根気のいる作業だ。
味噌、キュウリと一緒に盛り付けてみた。
これに出汁を加えながらまぜまぜするが、アマドコロが団子になり、
混ぜるのも根気仕事となった。
「キュウリは後だったかな・・・」
次回への反省点。
出来上がったトロロ汁をご飯にかけて頬張る。美味い!!
立て続けに二杯いってしまった。それでなくてもセミメタボのお腹が固く膨れて苦しい。
翌朝、顔を洗うとき、腰の痛みが無くなっているのに気付いた(驚)。