重いバイクの危険性とその理由 車



 200kgを越えるビッグスクーターで転倒したのですが、それから重いバイクは慣性の法則が大きく働き、危険なのではないかと思うようになりました。

重さに比例して止まりにくくなる


 ざっくり言って、物体の運動エネルギーは重さと速度の二乗に比例するそうです。

 確かに教習所で「速度」で制動距離が二次的に伸びる、と言う話は良く聞いた記憶があります。
 しかし、「重さ」で制動距離が伸びる、と言う話はあまり記憶に無いように思います。
 これはある一つの決まったバイクでの運転の注意点であるために、重さは変えようがないので省略されているのではないかと思います。

 そしてこれはブレーキの性能が同じなら速度が同じでも、車重が100kgと200kgでは止まるのに二倍の距離が必要と言うことになるのだそうです。
 (以下、ライダーの体重は省略します。)
 

重いバイクが危険な理由


 ブレーキが同じなら同じ距離で止まろうと思えば、200kgのバイクは100kgのバイクの半分のスピードでなければならないと思います。もしくは100kgのバイクのスピードの平方根でしょうか。
 ブレーキの考え方にも諸説あり、荷重の影響や、重心位置の問題、ロックするまではブレーキの摩擦で、ロックしてからはタイヤと路面の摩擦力と違って来ます。しかもバイクの前輪のロックは即転倒を意味するので、あってはならない事です。
 計算は苦手ですが、どちらにしても半分位しかスピードを出せないのでは困るので、重いバイクはブレーキ性能を強化します。

 しかしブレーキの強化は簡単にできますが、タイヤのグリップには物理的な限界があるのではないでしょうか。
 
 バイクのタイヤはバンクさせないといけないので断面が丸く、接地面は名刺一枚程度しかありません。太くしても接地面はあまり増えない様に思いますし、そもそも接地面積が増えると摩擦力が上がるものでも無いようです。
 ブレーキ時は前輪の小さな接地面に、ライダーの体重を足した270kg位の動いている物体を止める摩擦力が必要になると思いますが、余裕があるとは思えません。少しでも路面が濡れていたり、砂が浮いていれば大変危険です。

 軽いバイクの方が、タイヤのグリップに安心感を感じるのは私だけでしょうか。転倒する気がしないのです。

 バイクはスピードを求めて乗るものでもあります。より早く走るために排気量やパワーを上げますが、そうするとどうしても重くなります。しかし、重くなると止まれないので結局スピードを出せないという矛盾が生じるのではないでしょうか。
 バイクメーカーはこの危険性が分かっていても言えないのではないかと思います、ABSはそうした事の防止策だとは思います。
 
 またバイクのブレーキは、ライダーの技量に左右されると言う表現がされますが疑問が残ります。
 重いバイクは、物理的な安全マージンが元々少なかったのではないでしょうか。重くてスピードが出ている状態は、二次的以上に制動距離が伸びる。それを止めようとするのは、スリップの危険性がかなり高いと思います。
 
 そしてその場合、前輪のロックと言ってしまいますが、正確に言うとロックよりスリップが先でタイヤがグリップを失うのではないかとも思います。

重いバイクは小型バイクより速いと思ってはいけない


 重いバイクはこのように、パワーはあるがスピードを出してはいけないと言う矛盾を抱えていると思います。
 なので最も危険なのはこうした特性を理解せず、パワーがあるので小さいバイクより速いはずと思い込んでしまう事ではないでしょうか。
 私は今では、重いバイクは軽いバイクよりスピードを出してはいけないと思っています。

道は石のように硬く、のこぎりの様にギザギザ

 
 また、転倒してから感じるようになったのが、道の硬さと粗さです。
 転倒するまで考えた事もありませんでしたが、転倒は石に頭を打ち付けるのと全く同じで、ヘルメット無しでは頭蓋骨など簡単に割れると思います。しかも道はギザギザの石のヤスリで、皮膚を削ります。
 最近は歩くだけでも、道は固くザラザラで、怖さを感じます。

大型バイクのライダーは安全運転で、パッドの入ったジャケットを着る理由


 漠然と、大型バイクのライダーさんは街中で一時停止をきちんとして、スピードも控えめで、左右確認も首を振って確実に運転するイメージを持っていました、
 パッドの入ったジャケットや、革ジャンも非常に多い。

 さすが限定解除の免許で、鍛えられているんだなとずっと思っていました。
 
 しかし、自分が200kgのスクーターで転倒してから、重いバイクは危険で安全運転しかできないのではないかと思うようになりました。
 通勤に使っても気が付けば125ccや、100ccの時より安全運転になっており、悪く言えば遅いのです。

 重くてもサーキットのような、飛び出しが無くコーナーも決まった位置にある場合は速いのかも知れません。
 しかし、一般道でのライディングは予測不可能な現象の連続で、止まりやすさは一番重要なのではないでしょうか。
 慣性力が大きいので重いバイクは止まりにくい。止めようとすると、スリップ、転倒の危険性が高くて怖いのだと思います。
 
 こうした事から、街中では原付二種と言われる50から125ccがパワーと車重のバランスがベストのように思っています。